モンテッソーリ教育を受けた有名人とは?どんな力が養われるのか教育法に迫る

子供の教育。
真剣に考えない親御さんはいないでしょう。
我が子にはどんな教育を受けさせるのがいいのかな?
将来、どんな大人になって欲しい?
悩みは尽きませんね。
近年、身近になって来ている「モンテッソーリ教育」。
有名人にも受けた人がたくさんいると言われています。
今回は「モンテッソーリ教育を受けた有名人は、どんな力が養われるの?日本でも受けられるの?その教育方法!」を紹介しましょう。
モンテッソーリ教育って何?
モンテッソーリ教育の始まりは?
モンテッソーリ教育の始まりは1907年。
イタリアの医師で幼児教育者のマリア・モンテッソーリ博士(1870~1952年)が提唱しました。
マリア・モンテッソーリは、イタリアで初めての女性医学博士。ノーベル賞候補にも選ばれたんですよ。
筆者
卒業後、ローマ大学付属の精神病院にようやく職を得たマリア・モンテッソーリ。
非常に劣悪な環境の中で、知的障害を持つ幼児に目を止め、注意深く観察を始めました。
「障害のある幼児が、床に落ちたパンくずで、一生懸命遊んでいる!」
知的障害児の様子から、感覚を刺激することで知能が向上するのではないか、と考えたのです。
筆者
病院にいた色んな障害を持つ子供に、指先を動かして遊べるおもちゃを次々与え、療育を試みました。
すると、療育を受けた障害児たちの知能検査の結果が、当時の健常児の結果を上回ったのです。
すごいね!厳しい環境の中での大発見だったんだね!
ひつじー
そうですね。当時の教育界、医学界の人達もびっくりだったそうですよ。
筆者
1907年、マリア・モンテッソーリは医師を辞め、更なる研究の為にローマ大学に再入学しました。
大学では主に哲学を学びながら、ジャン・イタールの著書の研究に着手します。
ジャン・イタールはアヴェロン(南フランス)で発見された野生児の観察と教育を行った、感覚教育の先駆者です。
筆者
その後、エドワード・セガン(知的障害、発達障害者教育の先駆者)の著書に出会いました。
治療教育を進めながら生理学、精神医学の研究を更に重ね。
独自の幼児教育法、モンテッソーリ教育を確立したのです。
当時、モンテッソーリ教育はシュタイナー教育と共に、既存の教育法に不信感を持つ人たちの支持を集めました。
筆者
モンテッソーリ教育ってどんな教育?
モンテッソーリ教育は、環境を通して行われる教育法です。
障害児にも健常児にも適応できます。
現在は、大脳生理学、心理学、教育学等で確かさが証明されています。
筆者
ところで、モンテッソーリ教育とは、どんなものなのでしょう。
中身をひも解いてみましょう。
モンテッソーリ教育の考え方、目的
モンテッソーリ教育は「子供は自分で育つ力が生まれながらに備わっている」という前提に基づいた教育法です。
子供って大人に教えられなくても、自分で歩いたり出来るようになるもんね!自分から「やってみたい!」って言いだしたり。
ひつじー
そうですね。モンテッソーリ教育では、子供が自立に向けて成長、発達していこうという内在的な力のことを「自己教育力」と言います。
筆者
- 自立していて有能である。
- 他者への思いやりと責任感を持つ。
- 生涯、学び続ける姿勢を持つ。
子供達に自由を保障し、自発的な活動を助けることで、そんな人間に育てようというのが目的です。
モンテッソーリ教育は、大人(親や教師)が自分達の価値観を押しつける教育ではありません。
大人(親や教師)は、「子供の自主的な活動の援助者」という立場で行われる教育なのです。
子供に寄り添った、自由を重んじる教育法なんだね!
ひつじー
しかし、子供は放ったらかしでは「自己教育力」を発揮できません。
「自己教育力」を充分に発揮できる環境を、大人が整えてあげなければならないのです。
モンテッソーリ教育における環境、教具
モンテッソーリ教育において、必要とされる教育環境、使われる教具はどんなものでしょう?
具体的に見ていきましょう。
大切なのは、「整えられた環境」
モンテッソーリ教育は、子供を教育する環境を整えることを最重視しています。
子供が自由に遊び、作業できる環境ですね。
筆者
- 清潔が保たれた教室
- 子供の目線で全体を見渡せる教室
- 子供を注意深く観察できる教師
モンテッソーリ教育においては教師も、「整えられた環境の担い手」の1つと捉えられています。
教具の扱い方はもちろん、子供の観察力、子供の発達に合った環境を提供するスキルが求められるのです。
先生も高いスキルを求められるんだね!
ひつじー
国際的な教員養成制度があるんだけど、厳しいらしいですよ。
筆者
モンテッソーリ教育を行っている幼児教育施設のことを「子どもの家」と言います。
- 子供が好きな活動を自由に選べる。
- 子供に面白そう、使ってみたいと思わせる教具が準備されている。
- 異年齢(3歳の年齢幅がある)の混合クラス編成。
- 子供の自己形成を援助できる教師。
上記の4点の要素が満たされていることが条件です。
教育のために使う教具
「子どもの家」の教室には、色とりどりの木製教具がたくさん並べられています。
教具は市販されていますが、手作りしてもいいですよ。100円ショップの材料で作っている人もいます。
筆者
- モンテッソーリの感覚教育法に基づいて開発されている。
- 子供の繊細な五感を適切に刺激する教具であること。
- 教具は、大きさ、手触り、材質等にもこだわって作られていること。
たくさんの教具は、「モンテッソーリ教育の5分野」によって分類され、体系化されています。
「モンテッソーリ教育の5分野」とは、「日常生活の練習、感覚教育、言語教育、算数教育、文化教育」を指します。
筆者
日常生活の練習
日常生活には、実にたくさんの活動があります。
子供は何でも真似をしたがりますよね。
- 歩く。
- ボタンをかける。
- 髪をとかす。
- 掃除、洗濯、アイロンがけをする。
- 料理をする。
- 食器を洗う。
子供を上記のような活動に取り組ませます。
生活、精神的に自立し、自分の身体を自分の意志通りに動かせるようになることが目的です。
「おままごと」みたいだね。
ひつじー
与える教具は、以下のようなものでなければなりません。
- 子供が扱いやすい、子供サイズの教具であること。
- 子供にとって色、形が魅力的かつ、清潔な教具であること。
- ガラス、陶器等、本物を使った教具であること。
本物を使うことで、本物の持つ美しさを知ることができます。
壊れやすい物を丁寧に扱うことを学べます。
清潔に保つことで、汚れに気付きやすくなります。
家で普段使っているものの中に、教具として使えるの、ありそう!
ひつじー
小さい陶器のマグカップなんかを、そのまま教具にしてもよさそうですね。
筆者
感覚教育
視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚。
人間は五感によって外の世界を認識していきますね。
「感覚教育」はモンテッソーリ教育の中で最重要の分野とされています。
筆者
- 物を対にする。
- 段階づける。
- 分類する。
感覚教具は上記の、3つの操作を行う教具です。
- ピンクタワー(大小の積み木を積んで、手指の発達を促す)
- 円柱さし(物の大小等、視覚を育てる)
- 触覚板(粗い、なめらか等、触覚を育てる)
- 音感ベル(高い音、低い音等、聴覚を育てる)
上記のような教具を与えます。
子供に、意識して五感を使う練習をさせるのです。
重要なのは、感覚の刺激だけで終わらないこと。
感覚で得た情報を、頭の中で整理し、分類し、秩序立てて理解できるようになることが「感覚教育」の真の目的です。
言語教育
人間は言葉を使う生き物です。
人間の子供には言葉を獲得する力が、生まれながらに備わっています。
言葉には、「話し言葉」と「書き言葉(読む、書く)」がありますね。
筆者
子供は自分の周りに「言葉」があることを気づく時期を迎えます。
話し言葉→文字を読む→文字を書く→文法を扱って書く、というように成長していきます。
子供が、質のよい語彙を豊富に獲得できる環境整え、発達段階にあった教具を与えるのです。
- 絵カード
- 単語並べ
- 文字板
- 文字スタンプ
- ひらがな練習帳
僕のおもちゃ箱にも、入ってるのがあるよ!
ひつじー
子供が言語教育の教具を使うには、手や腕の動きをしっかりコントロールできなければなりません。
すなわち、「日常生活の練習」や「感覚教育」で身につけたスキルが必要なのです。
子供が文字に興味を持ったら、知らず知らずのうちに文字の読み書きまで出来るように導かれていきます。
段階を踏んで、身につけられるように工夫されてるんだね。
ひつじー
そうですね。言葉を獲得すると、さらに理解出来ること、吸収できることが増えていきますね。
筆者
算数教育
数を数えられる、計算ができるというのも、社会生活する上で必要な能力ですね。
モンテッソーリ教育の算数教育は、「数量」から入っていきます。
具体的に、感覚で捉えるところから始めるのです。
筆者
子供の中に数量概念を確立させるには、「数量」、「数詞」、「数字」の3つの一致が必須です。
- カラーの丸シール、算数棒(数の概念を実感させる)
- 色ビーズ(十進法を体感させる)
- 数字カード(数字を覚える)
- 暗算板(四則演算を身につける)
- 「銀行あそび」、「切手あそび」、「蛇あそび」等の教具セット(グループで四則演算を身につける)
- 数字練習帳
小学校で使う、「算数セット」みたい!
ひつじー
もちろん、どの教具も具体的で、子供が手に取って扱えるものです。
最終的には、完全に抽象的な「暗算」が出来るように自然に導かれます。
文化教育
文化教育は、幅広い内容を扱う分野です。
「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「算数教育」を統合した学習内容とされています。
筆者
- 動物、植物
- 地学
- 歴史、地理
- 道徳(宗教)
- 音楽、体育、美術
言葉や数字以外にも、子供の周りには、興味をひくものがたくさんありますね。
文化教育は、子供にできる限り興味の種をまこう、という目的で行われます。
- 時計(アナログのもの)
- 動物、植物の絵カード
- 太陽系の惑星の模型
- 世界地図、日本地図のパズル
- 地球儀
学校の理科や社会の教材みたいだね!
ひつじー
そうですね。段々本格的なものになっていくのですね。
筆者
モンテッソーリ教育の教具は、基本的な使い方が定められた教具です。
単に子供に与えるだけでは、子供はその時、教具に興味を持っただけ、で終わってしまいます。
単なるおもちゃや一般的な教材とは全く異なります。
教具の意味、扱い方を熟知した大人(親、教師)が子供に与えてこそ、意味のある教具になるのです。
日本のモンテッソーリ教育はどうなってるの?
現在、世界の140ヶ国以上の国に、モンテッソーリ教育を実施している幼児教育施設があります。
日本では1960年代から取り入れられています。
今、日本ではどんな状況になっているのでしょう?
ここまでの記事を読んでいると、モンテッソーリ教育は幼児教育ってイメージがあるけど。
ひつじー
モンテッソーリ教育は本来、24歳までを対象とした教育法です。
欧米には、モンテッソーリ教育を実施している小学校、中学校、高等学校があります。
日本は法律や制度の問題で、小学校以降の学校にモンテッソーリ教育を取り入れるのが難しいのです。
必然的に、日本でモンテッソーリ教育を実施できるのは幼稚園や保育園に集中してしまいます。
なるほど!それで「モンテッソーリ教育は幼児教育」と誤解されてしまうんだね!
ひつじー
また、欧米では「オルタナティブ教育(伝統、主流と異なる教授、学習方法)」として評価されていますが、日本では「早期教育、英才教育、小学校のお受験対策」として注目されがちです。
それはいいとして、日本でモンテッソーリ教育を受けられるところはどこにあるの?
友人
- カトリック系の幼稚園、保育園
- インターナショナルスクール
- 日本モンテッソーリ教育綜合研究所付属の「子どもの家」
- 東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター直属の付属園(3園)
実施施設も少ないです。
日本でモンテッソーリ教育を受けるのは、結構ハードルが高いのです。
稽古事の感覚で通える施設もあるみたいだよ。
ひつじー
とりあえず、ネットで探してみるのが一番ですね。良さそうなところがあったら積極的に見学に行きましょう。
筆者
モンテッソーリ教育のメリット、デメリット
現在のグローバル化時代にもマッチしていると言われるモンテッソーリ教育。
では、モンテッソーリ教育のメリット、デメリットは何でしょうか?
日本の教育の視点から見ていきましょう。
モンテッソーリ教育のメリット
- 子供の個性が育まれる。
- 自主性、積極性が育まれ、何でも前向きに取り組むようになる。
- 自分の頭で考え、問題解決に導いたり、自己主張できるようになる。
- 年齢、性別に関わらず、人と関われるようになる(縦割りクラス)。
- 手先が器用になる。
- 集中力が身に付く。
- 達成感から情緒の安定、自己肯定感が得られる。
特に、自主性や自己主張する能力。
日本の人達が国際社会で生きていくために身につけるべきと言われていますね。
集団の中で揺るぎない自分の考えをしっかり持つことも、これからの時代に必要な力でしょう。
無理なく子供から引き出せるのは、素晴らしいことですね。
大人(親や教師)が子供を1人1人、発達や成長を観察して、適切な教育を見極めて行けるのが最大のメリットですね。
筆者
モンテッソーリ教育のデメリット
- 協調性に欠ける。
- わがまま、身勝手になる(集中力、自主性の行き過ぎ)。
- 屋外での活動(外遊び)が少ない。
- 実施園の方針、教師の能力によって効果が左右される。
日本の学校は、協調性を最重要なものとしています。
モンテッソーリ教育は集団で行う作業が少なく、協調性が育ちにくいと言われています。
小学校以降の集団生活になかなか適応できない、というケースもあるようです。
小学校以降で自分の好きなことしかしない、集団を乱す「問題児」とされてしまうこともあるみたいです。
筆者
- 体を動かすのが好きな子供(活発な子ども)
- 物事への興味関心が薄い子供
上記のような子供には向かない教育法とも言われています。
異年齢クラスが時に、デメリットとなることもあります。
- 年齢差が1~3歳程度の幼児に年少児の面倒を見させるのは時に危険がある。
- 自分の活動に夢中になり、年少児の面倒を見なくなる(年長児)。
- 年長児の意見が通りやすく、年少児がのびのびと活動できない。
異年齢クラスはメリットが多いと、一般論でも言われていますが、デメリットもあるんですね。
筆者
モンテッソーリ教育を受けた有名人
有名人にもモンテッソーリ教育を受けて育った人がたくさんいます。
特別な能力を開花させた人もたくさんいるんですよ。
筆者
どんな人がいるのか、分野別に見てみましょう。
政治家
- バラク・オバマ
- ビル・クリントン
- ヒラリー・クリントン
- ジャクリーン・ケネディ・オナシス(ジョン・F・ケネディの妻)
IT
- ビル・ゲイツ(米マイクロソフトの創業者)
- ラリー・ペイジ、セイゲル・ブリン(Googleの創業者)
- ジェフ・ベゾス(アマゾンの創業者)
- マーク・ザッカーバーグ(Facebookの創業者)
- ジミー・ウェールズ(ウィキペディアの創業者)
- ウィル・ライト(「シムシティ」の開発者)
学者
- ピーター・ドラッガー(経営学者)
音楽
- ヨーヨー・マ(チェリスト)
- ショーン・コムズ(プロデューサー)
将棋
- 藤井聡太四段
実業家など、クリエイティブな分野で活躍している人が多いですね。
藤井聡太四段は、ものすごい集中力の持ち主らしいよ。モンテッソーリ教育で養われた力なんだって!
ひつじー
他にも、アンネ・フランク、ヘレン・ケラー、ジョージ・クルーニー(俳優業)、トーマス・エジソン、イギリス王室。
モンテッソーリ教育が一般的に普及している欧米には、本当にたくさんいらっしゃいます。
まとめ
子供には個性や性格があります。
教育は、受けさせてから結果が出るまで時間がかかります。
社会の変化が速い近年、求められる能力もあっという間に変わってしまいます。
「子供の教育を失敗した。」とぼやく、子育て終了世代の親御さんもたくさんいますね。
しかし、子供を悪くしよう、とした教育は、どんな時代にもなかったのではないでしょうか。
教育によって花開くこと、逆に、摘み取られてしまうこともたくさんあると思います。
子供達の未来が幸せなものに、開かれて行きますよう。